はじめに・・・鉄道に興味を持ち始めました。
世間では鉄道好きの人のことを【鉄(テツ)】と呼ぶらしいです。
これからは鉄と呼んでください。

さて、先日北海道へ一人旅へ行ってきました。
名目は【さっぽろ雪祭りを見に行く】ですが、本当の目的は【横浜から日本最北端の稚内まで鉄道で走破する】というものです。

東京(横浜)から鉄道で北海道に行くのは、物好きの域であるらしい。
【時代は飛行機】。
しかし鉄となった今では、国内線など邪道です。

と言う訳で予め取ってあった飛行機を前日にキャンセルし、その日の夜寝台特急北斗星で行くことにしました。

今回は、この一人旅で訪れた場所で特に強烈な印象を受けたことを書いてみます。

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【宗谷岬】( 著者・編集:Penguin )

朝9時30分くらいだろうか。

タクシーで日本最北端の宗谷岬へ到着し「えーっと、1万円(正確には9千200円くらい)ですが8千円でいいですよ。」
と運ちゃんに言われて「8百円ですかっ!安っスね!」と言おうかどうか迷っていたとき、ちょうど帰りのバスが出発するのが見えた。

次のバスの時刻を気にすることもなく、早速最北端の石碑?のところへ。
柄にもなくニマニマしながら写真におさめていたが、段々寒くなってきて近くの土産物屋へ退避することにした。

暖まるついでにお土産(※1)を物色し、支払いのついでに気になっていた次のバスの時間を聞いてみる。
「次は15時??分だよ。」
・・・おばちゃん、平然と言うがそれは今から5時間後だ。

「う~ん、どうやって時間を潰そうか。」と考えていた時、稚内駅まで32kmという表示を見つける。
マラソン選手が42kmを2時間で走ることを考えると5時間以内に着くに違いない。

そこで、意を決して駅まで歩くことにした。

これこそ一人旅の醍醐味だ。
他に人がいたら絶対に反対されて出来なかっただろう。

歩いて間もなく、横に車が停まった。
地元の人だろうか・・・「バスに乗り遅れたの?駅まで送るよ。」
おお・・・なんて親切な人だ。
普通の人ならば迷うことなく乗せてもらうだろう。

が、このとき【一度歩くと決めたからにはやり遂げねばならない(※2)】という無謀な考えが頭をよぎる。
冬の北海道・・・いや、稚内を甘く見すぎていたのかもしれない。

「ありがとう、おじさん。でも僕は歩くんだ。」

もはや、ただの変わり者である。

後悔したのは北海道に来た時よく見かけるコンビニを少し過ぎたあたり。
距離にすると大体10kmくらいだろうか。

突然、さっきまで晴れ渡っていた空が雲に覆われ吹雪いてきたのだ。

思いっきり向かい風で目を開けていると雪がバシバシ目に飛び込んでくる(超痛い)。
ものの1分も歩くと、服の前面が雪で真っ白になってしまうような状況だ。

途中胸ポケットにかけていたRay-banのグラサン(2万5千円)(※3)がなくなっていることに気づいた。
どこかで落としたらしい・・・が、探しに引き返す余裕など全く無かった。前に進むしかない。

歩道には足跡は無く、後ろを見ると自分の足跡だけが延々と続いている。
さっきまでは綺麗に見えていた海も今は吹雪でよく見えない。

「何でこんな目にぃー、目がぁー、目がぁー(ムスカ)(※4)」と言いながらも歩きつづけて、稚内空港まで残り7km。

空港まで行けばタクシーかバスがあるだろうと期待したが、その期待は無残にも実現しないものとなった。
増幌川を過ぎて1kmほど歩いただろうか・・・その先の歩道が自分の背丈ほどの雪で埋め尽くされていたのである。

避難しようにも周囲に建物は全く無い・・・左手には広大な大地、右手には道路を挟んで海が広がっている。

もはや【一度歩くと決めたからにはやり遂げねばならない】などという考えは消え、【タースーケーテー!】という考えに変わっていた。

このまま歩くとしても歩道は死んでいる・・・車道を歩くしかない。
しかし、50m先も見えない状況で車の横を通るのは危険すぎる。
スリップされたらひとたまりもない・・・車道を歩くのは大きな賭けだ。

「ん?車・・・あ、ヒッチハイクだ!」

ヒッチハイクという画期的なアイデアを思いつき試してみるが、視界の悪さもあってなかなか停まってはくれない。
段々手足が寒さでしびれてきて「死ぬかも。」と思い始めたそのとき、一台のワゴンカーが目の前に停まったのだ。

本当に地獄に仏、砂漠にオアシスのような気持ちで車に乗り込んだ。
車内で色々話をしていると、どうやら地元でペンションをやっているご夫婦のようで、この吹雪の中こんな場所を歩いているのは変だと思い停まってくれたらしい。
最後まで歩けなかったのは残念だが(←なに!)あの極寒地獄から生還できたのだから、感謝の言葉以外思いつかない。
今度稚内へ行く機会があれば、是非このペンションに宿泊したいと思う。

20分か30分走っただろうか、車は稚内駅に到着した。
お礼を言って車を降り、駅に入る。
旨いと教えてもらったラーメン屋(駅出て右だったはず)で体を暖め、次の汽車を待つことにした。

札幌行きの特急【スーパー宗谷4号】のガラガラの車内。
あんなに酷い目にあったのに、薄暗くなった広大な雪景色を眺めていると「また来よう。」と思ってしまう。
北海道には何か不思議な魅力があるのかもしれない。

※1:会社に宗谷岬にお土産を持っていったのですが、宗谷岬で買ったお土産は雪のせいで見るも無残な姿になった為、稚内駅前の駅を出て左側の土産物屋で買いなおしたという逸話があります。
※2:冗談抜きでやめておいたほうがいいです。仮に吹雪いてなくても、横浜→東京くらいの距離があります。
※3:誰か探してけれー。おねげえしますだo(。。;)o
※4:どう考えても自業自得です。

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おまけ。

今回往復の北斗星で往復5万円弱かかってしまいましたが、フリーきっぷ等を利用することで料金を抑えることが可能です。

【北海道のフリーきっぷ例】
・ぐるり北海道フリーきっぷ:有効期限5日 往復の北斗星に乗れて北海道の特急も乗り放題。(時期によって変わる:約35000円~45000円)
・北海道フリーパス:有効期限7日 北海道の特急に乗り放題。(普通:約24000円 グリーン:約32000円)

ぐるり北海道フリーきっぷの方を使っていればズット安くいけたはずなんですけど、既に北海道フリーパスの方を買っていたんですよね。

実際にかかった交通費が・・・往復北斗星(約5万)+北海道フリーパス(約2万5千)=約7万5千
ぐるりを使っていた場合・・・約3万5千
飛行機で行っていた場合・・・往復飛行機旅割(約2万5千))+北海道フリーパス(約2万5千)=約5万

うむ、ぐるり北海道が圧倒的にお得ですな・・・。

調べてみると結構お得なフリーパスがあったりします。
どこか国内旅行に行くときなど、一度お得なきっぷを調べてみてはいかがでしょうか?

○オススメきっぷ
【青春18きっぷ】
九州でも北海道でも国内ならどこでも2000円ちょっとの均一料金でいけますよ。(鈍行しか乗れないけど・・・うわっ、何をするきさまらー!)

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